昨年8月に、約9年間ご愛顧いただいたレストラン“ラ・クッチーナ・カドーレ”は、“洋鍋レスト チェルカドーレ”として、生まれ変わりました。OPEN以来ごひいきにしていただいていた方々は、さぞビックリされたことでしょう。
理由は様々ありますが、一番は既存の洋食レストランを“カドーレ”でやる意義があるのか、疑問を持ったからです。
当時私たちは、チーズを作るときに副産物として生産される「ホエイ」の使い道について模索していました。産学官や農商工連携に相談しているうち、「センナリ酢」さんをご紹介いただきました。
広島のもの作りのパイオニア、「センナリ酢」さんは、早くから様々な業種の方々と共同開発をされていて、その商品は、味、品質とも定評があります。「ホエイ」の成分や特質を徹底的に調べ、かくして、「センナリ酢」さんの技術をもって、“カドーレ”の「ホエイ」と県内産のゆず果汁を使用した、日本で初めての「ホエイポン酢」が出来上がりました。
毎日牛を飼いながら、牛乳を生産する私たちにとって、これはとても重要なことでした。牛から排出される糞尿は完熟堆肥にして、牧草地や畑に還元。その牛乳を使って作ったチーズを作る過程で生産される「ホエイ」を、パンやポン酢にすることで、私たちの目指す、完全循環型の農業が構築されるからです。
そしてそれこそが、“カドーレ”の存在する意義であり、“チェルカドーレ”の存在する意義なのです。
「ホエイポン酢」を美味しく召し上がっていただくことは、“チェルカドーレ”の大きなコンセプトです。
お鍋というシンプルなメニューだからこそ、素材の味がそのまま生きるのです。なので、素材選びには一切の妥協はありません。
“牛肉”は、竹原のブランド牛「峠下牛」。日本でも珍しいメスのみの飼育を行っています。
そのため大きくするにも時間がかかりますが、独自の飼料配合で、肉質は柔らかく、赤身は旨みがあり、脂は甘くてさっぱり。
“第27回日本農業賞”を受賞した、広島では、かなり名の知れたお肉です。

“豚肉”は、昨年“広島ブランド”に認定された「幻霜ポーク」。“まぼろし”と いうその名のとおり、とても人気が高く、入手が困難なブランド豚です。
肉の特徴は、筋繊維が細かく、無駄な脂肪が少ない。
色は鮮紅色で、小さなサシが入っています。繊細な味わいに、上質な脂の甘みが溶け合う。豚特有の臭みもありません。
厳選素材を「ホエイポン酢」で、美味しく召し上がっていただくことは、料理人の喜びももちろんですが、それ以上に、生産者としての喜びでもあるのです。
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